季語「天の川(あまのがわ)」の解説と季語を使った俳句の例

秋の季節の季語の一つである「天の川(あまのがわ)」です。

天の川

季語の解説:

「天の川」は、秋の夜空に見える、星々が連なって川のように流れている天体の帯を指し、七夕の伝説とも結びつく美しい季語です。秋の澄んだ空気の中で一層くっきりと輝く天の川は、宇宙の壮大さや静けさを感じさせ、見る者に夢幻的な感覚を抱かせます。天の川の下では、遠い星の光を仰ぎ見て、過去や未来に思いを馳せたり、孤独や詩的な感情が湧くこともあります。俳句では、秋の深まりや自然の広大さを表現する際に用いられ、物語性や幻想的な雰囲気を醸し出すのに適した季語です。

季語を使った自作の俳句:

季語「天の川(あまのがわ)」を使った俳句の例です。

天の川 流れる星に 手を伸ばし

解説:天の川に流れる星々を眺めながら、思わず手を伸ばすという動作に、無邪気な憧れや人間の小さな存在感が表れています。「手を伸ばし」という素直な表現が、天の川の壮大さや宇宙への夢や願いを強く感じさせる一句です。言葉はシンプルですが、星に手を届かせようとする仕草から、遠くて届かないものへの切なさやロマンチックな気持ちが漂っています。

天の川 時を忘れし 影二つ

解説:天の川を静かに見上げる二人の姿が描かれています。「影二つ」という表現が、並んでいる二人の影を控えめに表し、夜空の美しさと静かな共有の時間を引き立てています。「時を忘れし」とあるように、時間の流れを忘れるほど、星空の下で過ごすひとときの穏やかさや、心の安らぎが伝わってきます。情景に余白があり、読み手がその二人に自分を重ねたり、誰かとの時間を思い出したりすることができる句です。

見下ろせば 夜景に広がる 天の川

解説:視点を変えて、地上の夜景を「天の川」に見立てた一句です。ビルの灯りや街の明かりがまるで星々のように広がり、人工の光が地上に描き出す天の川を表現しています。「見下ろせば」という言葉が、読み手に高い場所からの眺望を想像させ、現代的な都会の夜景と自然の天の川との対比を印象づけます。自然の天の川ではなく、現代の光の川を「天の川」と捉えたことで、新鮮な視点と現代の美意識が感じられる句です。

プロフィール画像

著者 / Tommy Ikura

毎日の暮らしの中で役立つ情報や、趣味に関するコンテンツを分かりやすく解説するサイトを製作しています。