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季語「月(つき)」の解説と季語を使った俳句の例
秋の季節の季語の一つである「月(つき)」です。
月
秋の「月」は、特に澄んだ空気の中で美しく輝く月を指し、秋の夜空に浮かぶ月の明るさや神秘的な美しさを表現する季語です。古来より、日本では月見の風習があり、秋の月は「中秋の名月」や「十五夜」などと結びつき、詩情豊かな情景を描く題材として親しまれています。秋の夜空は他の季節に比べて空気が澄んでいるため、月の光がくっきりと際立ち、月を愛でる心が季節の移ろいとともに表現されます。俳句では、月そのものの美しさを描くだけでなく、月を通して静けさや人の感情、自然の風情を詠むことが多く、詩情を高める役割を果たします。
季語「月(つき)」を使った俳句の例です。
月明り 伸びゆく影と 足揃え
解説:月の明かりによって地面に映る自分の影が長く伸びている様子を描いています。「伸びゆく影」と「足揃え」という言葉が、月明かりの下で静かに歩いている姿や、影と歩調を合わせるような微笑ましい情景を表しています。月夜の静けさと、歩く人の心の落ち着きや穏やかな時間が感じられる一句です。影と一緒に歩くという発想が詩的で、夜の月光の美しさが印象的です。
月眺め 座れそうだと 笑う子よ
解説:子どもが夜空の月を見上げて、まるで月の上に座れるかのように感じた純粋な発想を描いています。「座れそうだと」という表現が、子どもの無邪気な想像力と微笑ましい笑顔を自然に浮かび上がらせています。大人にはない子どもの柔軟な感性が、夜空の月の神秘さと相まって、とても温かみのある俳句に仕上がっています。読む者に、穏やかで心温まる時間を思い出させてくれる一句です。
京の空 月の近さに 息をのむ
解説:京都の夜空に浮かぶ月がとても近く感じられ、その美しさに思わず息をのむという瞬間を詠んでいます。「京の空」とすることで、京都ならではの情緒や歴史的な背景が浮かび上がり、月の美しさに加えて、その場所の特別さが強調されています。「息をのむ」という結びが、感動の瞬間を見事に表現しており、京都の夜の静寂と、圧倒的な月の存在感を感じさせる句となっています。読む人に余韻を残し、月夜の美しさを想像させる一句です。
著者 / Tommy Ikura
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