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季語「十六夜(いざよい)」の解説と季語を使った俳句の例
秋の季節の季語の一つである「十六夜(いざよい)」です。
十六夜
「十六夜」とは、陰暦8月16日の夜に昇る月を指します。満月から一日遅れの月で、満月ほど完全ではないものの、静かで美しい趣があります。名前の由来は、「ためらうように」月が少し遅れて昇る様子を表しており、古来より風流な情景として親しまれてきました。十五夜に続く月見の風習や、月の動きや光に対する人々の情緒が込められた季語です。俳句では、十五夜とは異なる落ち着いた月の美しさや、時間の経過とともに味わう余韻を表現するのに使われます。
季語「十六夜(いざよい)」を使った俳句の例です。[2]
十六夜の 昇りし空に 鐘響き
解説:十六夜(いざよい)の月がゆっくりと昇る静かな夜の情景に、鐘の音が響き渡る風景を描いています。「十六夜の月」は満月の翌日、少し遅れて姿を見せることで静寂や落ち着きを感じさせます。その月が昇る空と、遠くから響く鐘の音が調和し、まるで時間が止まったかのような荘厳な雰囲気が広がります。鐘の音は人々の心に染み入るようで、夜の深まりを象徴しているようにも感じられます。視覚と聴覚が一体となって、情緒豊かな秋の夜が表現されています。
揺れながら 十六夜映す 雨の跡
解説:雨上がりの水たまりや濡れた地面に十六夜の月が映り、揺れている様子を描いています。「揺れながら」という表現が、水面のかすかな動きや月の儚さを巧みに表し、自然の美しさと静寂が見事に調和しています。十六夜の月は満月ほど力強くはなく、少し控えめな美しさを持っているため、その揺れる光景にはどこか物哀しさや余韻が漂います。「雨の跡」という言葉から、雨上がりの清澄な空気と地面に残る水が思い浮かび、月明かりがその余韻をさらに美しく照らしている印象を受ける一句です。
著者 / Tommy Ikura
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