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季語「無月(むげつ)」の解説と季語を使った俳句の例
秋の季節の季語の一つである「無月(むげつ)」です。
無月
「無月」とは、秋の夜、月が雲に覆われて見えないことを指す季語です。本来ならば美しい月を愛でるはずの秋の夜ですが、雲や霧に遮られて月が隠れてしまう様子に、趣や風情が感じられます。見えないからこそ、月の存在を強く意識し、心の中で月を思うことも「無月」の一つの情緒です。俳句においては、視覚では捉えられない月を心象風景として表現することで、静けさや余情が生まれ、秋の夜の深まりを描く作品が多くなります。
季語「無月(むげつ)」を使った俳句の例です。[2]
無月の夜 雲の隙間に 星一つ
解説:「無月」という季語が持つ月の見えない夜空の静けさを背景に、雲の隙間から一つだけ見えた星に焦点を当てています。月は隠れているものの、その代わりに一つの星が存在感を放つという対比が印象的です。星の光は控えめながらも、暗闇の中で一筋の希望や美しさを象徴しているようです。「雲の隙間」という具体的な描写が、自然の中にある一瞬の輝きを際立たせ、静かな夜空の情景に深みを与えています。
無月の夜 夜更けの雨に 身をすくめ
解説:月の見えない「無月」の夜に、夜更けに降る雨がさらに暗さや冷たさを際立たせる様子を詠んでいます。「身をすくめ」という表現が、雨の冷たさや孤独感、ひっそりとした夜の空気感を伝え、無月ならではの静けさと肌寒さを効果的に表しています。自然の描写に加えて、雨に濡れまいと身を縮める人間の姿が浮かび、読者に共感を与える一句です。月が見えない寂しさに雨が重なることで、さらに情感が深まり、孤独や哀愁の漂う秋の夜が感じられます。
著者 / Tommy Ikura
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