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季語「後の月(のちのつき)」の解説と季語を使った俳句の例
秋の季節の季語の一つである「後の月(のちのつき)」です。
後の月
「後の月」は陰暦9月13日の夜に見られる月を指し、仲秋の名月(陰暦8月15日)に次いで美しいとされる月です。この日を「十三夜」とも呼び、古くからお月見の風習が残っています。十五夜に対して後の月は「名残の月」とも言われ、その美しさを惜しむ風情が漂います。十三夜の月見では、豆や栗を供える風習もあり、季節の移ろいや人々の祈りが込められた行事です。この季語を用いた俳句では、澄んだ秋の夜空に浮かぶ月の静けさや、その奥に広がる余韻を詠むことが多く、名残惜しい秋の情緒を表現するのに適しています。
季語「後の月(のちのつき)」を使った俳句の例です。[2]
静かなる 湖浮かぶ 後の月
解説:静寂に包まれた湖面に「後の月」が映る幻想的な情景を詠んでいます。湖面の静けさが月の美しさを一層際立たせ、周囲には音ひとつない澄んだ空気が広がっているようです。「静かなる」という言葉が情景を引き締め、読者の心にもその静寂が届きます。「湖浮かぶ」という表現は、月が湖に映り込む様子を描き、自然の美しさと月の神秘的な存在感が調和しています。視覚的な美しさだけでなく、心の安らぎをも感じさせる一句です。
暖かき 部屋から眺む 後の月
解説:室内の温もりと外の月の冷たさとの対比が巧みに表現された作品です。「暖かき部屋」という表現から、暖房の効いた部屋や家族団らんの風景が浮かび、その中で静かに「後の月」を眺める様子が描かれています。外の秋の夜空には透き通るような月が浮かび、その美しさに目を奪われながらも、室内のぬくもりが心地よいという安堵感が伝わってきます。部屋の中と外の世界の対比が際立ち、読者に穏やかな秋の夜を感じさせる句です。
著者 / Tommy Ikura
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