季語「雨月(うげつ)」の解説と季語を使った俳句の例

秋の季節の季語の一つである「雨月(うげつ)」です。

雨月

季語の解説:

「雨月」とは、秋の夜、雨に隠れて月が見えない情景を表す季語です。秋は月が美しい季節ですが、その月が雨によって見えないことにより、月を待つ心の切なさや、雨音に包まれる静寂が強調されます。「雨月」はただ単に月が見えないという現象だけでなく、見えぬ月を想う人の心情や、雨に打たれる自然のしっとりとした風情も含まれます。俳句においては、目に見えぬものを想像し、月を愛でる心の豊かさや、雨がもたらす静謐な時間を詠むことが多いです。

季語を使った自作の俳句:

季語「雨月(うげつ)」を使った俳句の例です。[2]

朧月 心に浮べ 雨月かな

解説:雨で月が直接見えない「雨月」の情景に、心の中に淡く浮かぶ「朧月(おぼろづき)」を重ねています。見えないからこそ月への思いが募り、心の中にぼんやりと月を描き出すという情感が見事に表れています。直接的な描写ではなく、心象風景を取り入れた点に深みがあり、雨月と朧月の対比も巧みです。月を愛でる日本人の情緒や美意識がしっとりと表現された一句です。

盃を 月に見立てし 雨月の夜

解説:雨月の夜、実際の月が見えない状況で盃(さかずき)を月に見立てるという風流な心情を詠んでいます。盃の形や酒の輝きが月のように見える情景は、月が見えないからこその発想であり、自然と人の感性が調和しています。目には見えない月を想像し、盃にその美を託す姿には、風雅な遊び心や日本独特の詩情が感じられます。月を愛でる心が盃に託され、雨月の夜の静けさと趣が漂う一句です。

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著者 / Tommy Ikura

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