季語「流星（りゅうせい）」の解説と季語を使った俳句の例

秋の季節の季語の一つである「流星（りゅうせい）」です。

流星

「流星」は秋の澄んだ夜空を切り裂くように一瞬光る星のことです。秋の夜空は空気が澄んでおり、星がひときわ美しく輝きます。流星はその中でも一瞬の煌めきを放ち、消えていく儚さが秋の情緒と深く結びついています。流れ星に願いをかける風習や、はかなくも美しい姿は、人々の感傷や願望を詠む俳句にしばしば登場します。俳句では夜空の広がり、静けさ、瞬間の美しさや儚さといった情緒を表現するのに使われます。

季語「流星（りゅうせい）」を使った俳句の例です。

夜明け前 流星一つ 山へ消ゆ

解説：夜明け前の静けさの中で、流星が一筋の光を描きながら山の向こうへと消えていく様子を詠んでいます。早朝の澄んだ空気とまだ暗い景色が、流星の輝きを一層際立たせています。「山へ消ゆ」という表現には、自然の中で儚く消えていく美しさや無常感が感じられ、流星の短い命を象徴するかのようです。静寂とともに流れる時間が印象的で、余韻の残る一句です。

一瞬の 命を燃やす 流れ星

解説：流れ星が一瞬の輝きで夜空を駆け抜ける様子を、「命を燃やす」という言葉で力強く表現しています。短い時間ながらも全力で光を放つ流星の姿には、生命の儚さと力強さが重なります。「一瞬の」という言葉がその短い時間の切なさを強調し、読者に感慨を抱かせます。シンプルな表現ながら、流星に込めた作者の思いや視点が深く心に残る俳句です。

寝転びて 流星探し 数えあう

解説：寝転がって夜空を見上げ、流れ星を探しながら数え合うという、温かく微笑ましい情景が描かれています。誰かと一緒に流星を数える行為には、心地よい時間と共有する楽しさが感じられます。「寝転びて」という言葉が、リラックスした様子を自然に伝え、夜空の広がりや流星群を見つける喜びを表現しています。流星を数えること自体が純粋な楽しみとして描かれ、日常の中にある幸せな瞬間を切り取った一句です。