季語「秋の虹（あきのにじ）」の解説と季語を使った俳句の例

秋の季節の季語の一つである「秋の虹（あきのにじ）」です。

秋の虹

「秋の虹」は秋の空にかかる虹を指し、秋ならではの澄んだ空気と涼やかな気候の中で見る虹は、他の季節に比べて繊細で透明感があるのが特徴です。夏の虹が力強さや鮮やかさを感じさせるのに対し、秋の虹はどこか儚く、静けさの中に現れる印象があります。秋晴れのあとにふと見える虹や、夕立後の澄んだ空に浮かぶ虹は、季節の移ろいを象徴し、心にしみる光景です。俳句では、秋の虹が静かに浮かび上がる様子や、それを見つめる人々の感情、自然の繊細な美しさがしばしば詠まれます。

季語「秋の虹（あきのにじ）」を使った俳句の例です。[2]

秋の虹 谷に風吹き 消え去りぬ

解説：秋の虹が谷間に吹く風によって儚く消えていく瞬間を詠んだ作品です。秋の虹は夏の虹とは異なり、その姿が淡く、儚い美しさを持っています。谷間に吹く風が強まることで、虹がふっと姿を消す様子には、自然の移ろいや無常観が感じられます。「消え去りぬ」という表現が、虹の短命さとともに秋という季節特有の寂寥感や静けさを際立たせています。一瞬の美しさをとらえた、情緒豊かな一句です。

秋の虹 色づく山の 傘となり

解説：秋の山々が美しく色づく中、その景色を包み込むかのように虹が架かる様子を詠んでいます。「傘となり」という表現が非常に独創的で、虹がまるで大自然に寄り添うような、優しく包み込む存在として描かれています。秋の虹と山の色彩が融合することで生まれる鮮やかな光景が、視覚的に美しく広がり、読者に穏やかな感動を与える一句です。