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季語「松過ぎ(まつすぎ)」の解説と季語を使った俳句の例
新年の季節の季語の一つである「松過ぎ(まつすぎ)」です。
松過ぎ
「松過ぎ」は、正月の松飾りを片付けた後の時期を指し、松の内が終わった後の少し静けさが戻る頃の季語です。一般的には1月7日(または15日)を境に、正月の賑わいが収まり、日常生活に戻り始める時期となります。「松過ぎ」は、華やかな新年の行事が終わり、少し寂しさや物寂しさを感じる一方で、新たな日常への再出発の気配も含んでいます。俳句では、片付けられた松飾りの姿や静まった家の中、日常に戻る人々の様子、正月が過ぎた後の心情などが詠まれ、新年の余韻と時間の移り変わりを描くことが多いです。
季語「松過ぎ(まつすぎ)」を使った俳句の例です。
松過ぎて 街に背広が 溢れだし
解説:松の内が過ぎ、正月の賑やかな雰囲気から一転して、街に背広姿の人々が戻り、日常が再び動き出す様子を描いています。「背広」という具体的な言葉が、働く人々や日常の風景を象徴しており、新年の特別な時間が終わった後の静かな変化が感じられます。正月の余韻を残しつつも、現実に戻る社会の動きが自然に表現され、時間の流れをしみじみと感じさせる句です。
松過ぎの 電車の中は 静かなり
解説:松の内が終わり、正月休み明けの日常へと戻った電車内の様子を詠んでいます。「静かなり」という表現が、乗客たちの心持ちや空気の変化を的確に伝えており、正月の賑わいが過ぎ去った後の少し寂しげな静けさが感じられます。電車の中に漂う疲れや落ち着き、再び動き始めた日常の静謐な一瞬をうまく捉えた、味わい深い句です。
松過ぎや しまいし飾り 眠りにつく
解説:松の内が終わり、正月飾りを片付けた情景を詠んでいます。「眠りにつく」という表現が擬人化されており、飾りに命が吹き込まれたかのような温かみと静けさを感じさせます。片付けられた飾りが次の正月まで大切にしまわれ、眠るように静かに時間が過ぎていく様子には、どこか郷愁や優しさが漂います。新年の賑やかさが過ぎ去り、日常へと戻る穏やかな時間の流れが美しく表現された一句です。
著者 / Tommy Ikura
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