季語「去年今年（こぞことし）」の解説と季語を使った俳句の例

新年の季節の季語の一つである「去年今年（こぞことし）」です。

去年今年

「去年今年（こぞことし）」は、年が改まる瞬間、すなわち旧年（去年）から新年（今年）へと時が移る様子を表す新年の季語です。この言葉は、単に年の境目を指すだけでなく、時間の流れの尊さや、過ぎ去った一年への感慨、これから迎える新しい一年への希望や抱負を含みます。俳句では、除夜の鐘や年明けの静けさ、日常の中の変わらぬ風景などと結びつけられ、時間の移り変わりやその一瞬に感じる心情が詠まれます。抽象的な言葉でありながら、具体的な情景や心の動きを添えることで、余韻深い作品に仕上がります。

季語「去年今年（こぞことし）」を使った俳句の例です。[2]

鳥居超え 踏む足軽く 去年今年

解説：年の変わり目に神社の鳥居をくぐる瞬間の軽やかな足取りを詠んでいます。季語「去年今年（こぞことし）」が旧年から新年へと移り変わる時間の流れを象徴し、鳥居を超えるという行為が、心の切り替えや新たな年への希望を暗示しています。「踏む足軽く」という表現からは、新年を迎えた喜びや未来への前向きな気持ちが感じられ、読後に清々しさが残る句です。シンプルながらも、動きのある情景と時間の象徴的な意味が見事に重なった一句です。

声揃え カウント始める 去年今年

解説：大晦日のカウントダウンの瞬間を捉えた作品です。人々が声を揃えてカウントを始めることで、旧年と新年の境目を強調し、時間が進んでいく高揚感や緊張感が伝わってきます。季語「去年今年」は、年越しの一瞬に込められた期待や喜び、そして時間の尊さを象徴しています。具体的な「声揃え カウント始める」という表現が、年の瀬の賑やかで活気に満ちた場面を臨場感たっぷりに描き出し、現代の年越し風景を活き活きと表現しています。