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季語「年玉(としだま)」の解説と季語を使った俳句の例
新年の季節の季語の一つである「年玉(としだま)」です。
年玉
「年玉(としだま)」は、新年に子供たちへ贈られる祝福の品物やお金を指し、現代の「お年玉」と同じ意味を持ちます。もともとは年神様への供物のお下がりや、家長が家族に配る餅や品物を「年玉」と呼んだのが始まりです。俳句において「年玉」は、新年らしい喜びや団欒、子供たちの無邪気な笑顔、そして贈る側の温かな思いやりを象徴します。子供たちが包みを受け取る瞬間の嬉しさや、家族の和やかな光景、新年の新たな希望が詠まれることが多く、伝統と現代が交わる季語として使われます。
季語「年玉(としだま)」を使った俳句の例です。[2]
年玉を 待ちわび並ぶ 小さき手
解説:新年に子供たちが年玉を待ちわび、手を揃えて並ぶ情景を描いています。「小さき手」という表現が、子供たちの無邪気さや純粋な期待感を際立たせ、年玉をもらう瞬間を楽しみにしている気持ちが伝わってきます。視覚的にも温かく、新年らしい家庭の和やかな風景が浮かびます。年玉が子供たちにとって特別なものだということがシンプルに、かつ力強く描かれており、新年の喜びや家族の絆が静かに感じられる一句です。
目の前の 笑み見て嬉し お年玉
解説:お年玉を渡す側の心情を詠んだ作品です。お年玉を受け取った相手(子供)の笑顔が「目の前」に広がり、それを見た瞬間の嬉しさが素直に表現されています。「笑み見て嬉し」という直接的な言葉遣いには、渡す側の優しさや満たされた気持ちがあり、シンプルながら心の温かさが伝わります。お年玉という行為を通して、与える側の喜びや幸せもまた描かれている点が印象的です。
年玉の 袋開きて 思案顔
解説:子供が年玉の袋を開け、その中身を見ながらどう使おうかと考え込んでいる様子を描いています。「思案顔」という言葉が、子供の真剣で少し大人びた表情を想像させ、微笑ましくも成長の一端を感じさせる瞬間を捉えています。年玉は新年の喜びや期待を象徴するものですが、受け取った子供が「どうしようかな」と迷う姿は、子供らしい純粋さとともに新年のひとつの風景として温かく映ります。
お年玉 わが子にあげる 日が来たり
解説:自分がかつて年玉をもらう立場だったものが、いつの間にか「わが子にあげる」立場になったことを詠んだ作品です。「日が来たり」という表現には、時の流れや世代交代の感慨深さがにじみ出ています。子供の頃は受け取る側の喜びを感じていた年玉が、大人になり親として渡す側の喜びや責任へと変わったことに気づき、新年にしみじみとした感情を抱く様子が伝わります。家族の絆や時間の流れを穏やかに表現した句で、新年ならではの心の動きが感じられます。
著者 / Tommy Ikura
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