季語「蓬莱（ほうらい）」の解説と季語を使った俳句の例

新年の季節の季語の一つである「蓬莱（ほうらい）」です。

蓬莱

「蓬莱」は、新年に飾られる縁起物や正月の飾りの一種を指し、幸福や長寿、不老不死を象徴する新年の季語です。蓬莱山という伝説の山を模した飾り物や、豪華に盛り付けられた祝い膳が代表的です。この季語には、家族の健康や繁栄、新しい年の豊かさを願う気持ちが込められています。俳句では、蓬莱を通じて新年の晴れやかな雰囲気を描いたり、伝統行事への思いを詠むことで、日本の文化や風習を詩的に表現することができます。また、蓬莱を飾る家族の情景や、それを見たときの感動や期待を詠む場合にも用いられます。

季語「蓬莱（ほうらい）」を使った俳句の例です。[1]

蓬莱や 食べれるのかと 聞く子らよ

解説：蓬莱という新年の縁起物を前にした子供たちの純粋で微笑ましい姿を描いています。「食べれるのかと」という問いが、子供たちの好奇心や無邪気さを直接的に表現し、正月の和やかで温かい家庭の雰囲気を伝えています。「蓬莱」という厳かで伝統的な飾り物との対比が面白く、読者に笑顔をもたらす句です。新年の清らかさと家族の絆、そして子供たちの愛らしさが一体となり、親しみやすく心温まる一句に仕上がっています。

季語「蓬莱（ほうらい）」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。

蓬莱に 徐福と申す 鼠かな

作者：高浜虚子

蓬莱に 聞かばや伊勢の 初便

作者：松尾芭蕉

ほうらいの 山まつりせむ 老の春

作者：与謝蕪村

蓬莱や 海老かさ高に 歯朶隠れ

作者：河東碧梧桐

雲ふかく 蓬莱かざる 山廬かな

作者：飯田蛇笏