季語「福藁（ふくわら）」の解説と季語を使った俳句の例

新年の季節の季語の一つである「福藁（ふくわら）」です。

福藁

「福藁」は、新年に庭や門口に新しい藁を敷くことを指す新年の季語です。この行為には、年神様を迎えるための神聖な準備として、清浄な空間を整え、家に幸福と繁栄を招き入れるという意味が込められています。福藁は、家庭や地域の伝統行事の象徴であり、藁を敷くことで新年の喜びや期待感が空間に広がります。俳句では、「福藁」を通じて新年の清らかな雰囲気や家族の団欒、地域の文化を描写することが多いです。また、藁の敷かれた庭や門口を背景にした情景を詠むことで、新しい一年への希望や感謝の気持ちが詩的に表現されます。

季語「福藁（ふくわら）」を使った俳句の例です。[1]

福藁の 準備を終えて 待つばかり

解説：新年の福藁を整え終わり、年神様を迎える準備が整った静かな一瞬を描いています。「準備を終えて」という表現が、年末の慌ただしさが過ぎ去り、新年を迎える期待感と静寂が漂う情景を効果的に伝えています。「待つばかり」という結びが、新しい年への希望や祈りを静かに暗示しており、句全体に清々しさと厳かな雰囲気を与えています。この俳句は、新年を迎えるための清らかな心持ちや、家庭内の温かい営みを象徴する一句で、簡潔でありながら深い余韻を持つ作品です。

季語「福藁（ふくわら）」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。

福藁や 十ばかりなる 供奴

作者：小林一茶

福藁に 雀の下りる 日向かな

作者：正岡子規