季語「風光る(かぜひかる)」の解説と季語を使った俳句の例

春の季節の季語の一つである「風光る(かぜひかる)」です。

風光る

俳句で使われる季語「風光る」をイメージした写真です

季語の解説:

「風光る」とは、春の風が陽光に照らされて明るく輝いているように感じられる様子を表す季語です。特に春の終わり頃、光が強まり、風が柔らかく吹く中でその風自体が光を帯びているかのような印象を与えます。この季語には、春の光の美しさと風の穏やかさ、そして自然全体の生命力が輝いているような印象が込められています。俳句では、風と光が一体となった春の情景がよく詠まれ、川面や草原、街道など、光が当たる場所を舞台にすることが多く、春の風の爽やかさと光の温かみが強調されます。静かな春の日に自然の中で感じる穏やかな風の輝きは、春の季節の明るさと生命力を象徴的に表現しています。

季語を使った自作の俳句:

季語「風光る(かぜひかる)」を使った俳句の例です。[2]

自転車に 走るわが子に 風光る

解説:春の光と風がわが子の成長を象徴的に包み込んでいる様子を描いています。自転車に乗って走る子供の姿は、生き生きとした動きと共に、春の躍動感や生命力を感じさせます。「風光る」という季語が、春特有の光の輝きと柔らかな風を同時に感じさせ、その光が子供の姿や未来を照らしているようにも思えます。親がわが子を見守る温かな眼差しと、春の明るく希望に満ちた情景が見事に融合し、日常の一コマに春の美しさや生命力を見出した優しい一句です。

まだ固き 桜の蕾 風光る

解説:春の光がまだ固い桜の蕾にそっと降り注ぐ情景を詠んでいます。桜の蕾が「まだ固き」という表現によって、春が近づいているものの、満開の桜にはまだ少し時間がかかることを示しています。その「風光る」という季語が、春の光と風の温かみを感じさせ、蕾の中に秘められた生命力や未来への希望を象徴しています。静けさの中に潜む力強さや自然の移ろいを見つめ、春の訪れを待つ心情が丁寧に表現されており、読者にも桜が開花するその一瞬への期待と美しさを感じさせる一句です。

有名な俳句、著名な俳人の俳句:

季語「風光る(かぜひかる)」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。

朝凪の 浪立つて風 光る頃

作者:河東碧梧桐

風光る 杉山かひに 村ひとつ

作者:芥川龍之介

プロフィール画像

著者 / Tommy Ikura

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