季語「霞(かすみ)」の解説と季語を使った俳句の例

春の季節の季語の一つである「霞(かすみ)」です。

俳句で使われる季語「霞」をイメージした写真です

季語の解説:

「霞」は、春に空や山々をぼんやりと包み込むように広がる薄い霧や靄(もや)を指し、春の到来を告げる象徴的な季語です。寒さの厳しい冬が終わり、気温の上昇とともに大気中に微かな水分が漂い、遠くの景色がぼんやりとかすむ情景を表します。視覚的には柔らかで淡い印象を与え、春特有の穏やかで優しい空気感が感じられます。俳句では、山並みや野原、川面、あるいは人の心情に霞を重ねて詠むことが多く、春の静けさや夢幻的な美しさを表現します。霞は、自然が動き出す春の情緒を象徴し、どこかはかなさや遠くへの憧れ、春の静謐な時間の流れを感じさせる季語です。

季語を使った自作の俳句:

季語「霞(かすみ)」を使った俳句の例です。[2]

曇天の 霞の中に 溶けし街

解説:春の曇り空の下、霞が街全体をぼんやりと包み込み、風景が輪郭を失っていく情景を描いています。「曇天の」と冒頭に置くことで、重たげな空の色と霞の広がりを効果的に引き立て、春の霞が街を柔らかく溶かし込むような視覚的美しさが感じられます。「溶けし街」という表現が、日常の街並みが霞と同化し、夢幻的な世界へと変化していく様子を詩情豊かに伝えています。春特有のはかなさや静けさが漂い、現実と非現実の境界が曖昧になることで、読み手に春の移ろいと静謐な時間を印象づける一句です。

朝霞 湖面に浮かぶ 鳥ひとつ

解説:春の朝、霞が立ち込めた湖面に一羽の鳥が静かに浮かぶ情景を詠んでいます。「朝霞」という季語が、春の朝に漂う淡く柔らかな霞を表し、その霞が湖面を包み込んでいる静謐な風景を際立たせています。「湖面に浮かぶ 鳥ひとつ」という描写が、静寂の中でひときわ際立つ鳥の存在感と生命の気配を感じさせ、穏やかな春の朝の時間を象徴しています。余分な言葉をそぎ落としたシンプルな表現が、かえって湖面の静けさと鳥の佇まいを鮮やかに浮かび上がらせ、読み手に春の朝の透明感と心地よい静寂を届ける一句です。

有名な俳句、著名な俳人の俳句:

季語「霞(かすみ)」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。

山寺や 撞そこなひの 鐘霞む

作者:与謝蕪村

荒あらし 霞の中の 山の襞

作者:芥川龍之介

春霞 国のへだては なかりけり

作者:幸田露伴

榛名山 大霞して 真昼かな

作者:村上鬼城

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著者 / Tommy Ikura

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