季語「霾(つちふる)」の解説と季語を使った俳句の例

春の季節の季語の一つである「霾(つちふる)」です。

季語の解説:

「霾(つちふる)」は、春に起こる大気現象で、黄砂や砂塵が風に乗って空を覆い、視界を悪くする様子を指します。特に東アジアの春に見られ、日本では中国やモンゴルの砂漠から運ばれてくる黄砂が主因となります。この現象は、遠くの景色がぼんやりと霞み、空が鈍い色に染まることから、自然の威力と季節の移ろいを感じさせるものとして俳句に取り入れられてきました。霾は、春の風物詩である一方、どこか不穏な空気や自然の厳しさを感じさせる季語でもあり、俳句では大地の動きや季節のエネルギーを表現する際に使われます。

季語を使った自作の俳句:

季語「霾(つちふる)」を使った俳句の例です。[2]

霾や 外したメガネ 跡浮かび

解説:霾(つちふる)が立ち込める中で、メガネを外したときに跡がくっきりと残る情景を描いています。霾という壮大な自然現象を、日常的な行為である「メガネを外す」という具体的な動作に結びつけることで、霾が身近に影響を及ぼしている様子を巧みに表現しています。「跡浮かび」という描写は、霾の濃密さや曖昧さを視覚的に際立たせ、春特有の季節感を生き生きと伝えています。

霾の中 富士の山も 隠れけり

解説:霾の広がりによって日本を象徴する富士山が姿を隠してしまう様子を詠んでいます。普段は雄大で堂々とそびえる富士山が、霾によって霞んで見えなくなる情景が、霾の自然現象の力強さと一時的な不安定さを際立たせています。「隠れけり」という結びが、富士山の荘厳さが一瞬で曖昧になる様子を表し、霾がもたらす幻想的で非日常的な感覚を伝えています。

有名な俳句、著名な俳人の俳句:

ありません。

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著者 / Tommy Ikura

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