季語「花曇(はなぐもり)」の解説と季語を使った俳句の例

春の季節の季語の一つである「花曇(はなぐもり)」です。

花曇

俳句で使われる季語「花曇」をイメージした写真です

季語の解説:

「花曇」とは、桜が咲き誇る春の日に見られる曇り空を指します。春特有の薄曇りで、重々しさよりも柔らかさや優しさを感じさせるのが特徴です。桜の花がくっきりと浮き立つ晴天とは異なり、曇り空が桜を背景に柔らかく包み込むような景色を作り出します。「花曇」という言葉には、桜の美しさを一層引き立てると同時に、春特有のはかなさや静けさを表現する力があります。俳句では、桜と空模様を通して、季節の移ろいや情緒を詠み込む際に使われることが多いです。

季語を使った自作の俳句:

季語「花曇(はなぐもり)」を使った俳句の例です。[2]

花曇 空と桜と 一休み

解説:花曇という柔らかな曇り空の下で、空と桜が共に静かに休息しているような情景を描いています。「空と桜と」という対比的でありながらも調和した表現が、自然の静けさと一体感を感じさせ、「一休み」という結びが擬人化された桜の姿に親しみを加えています。この句は、春の曇り空の穏やかさを優しく詠み、自然が持つ静謐な時間を共有するような感覚を読み手に与える作品です。情緒豊かで、日常の中に春の美しさを見つける喜びを伝えています。

花曇 小雨が染みて 色映えり

解説:花曇の柔らかな曇り空と小雨が降る春の日を描き、雨に濡れて艶やかさを増した桜の美しさを詠んでいます。「小雨が染みて」という動きのある描写が、雨が桜を潤し、その色彩を引き立てる瞬間を生き生きと伝えています。「色映えり」という結びは、雨と曇り空が桜の美を際立たせる効果を強調し、自然が生み出す調和の妙を感じさせます。この句は、春の曇天の中にも輝く美しさがあることを教えてくれる、穏やかで詩情あふれる作品です。

有名な俳句、著名な俳人の俳句:

季語「花曇(はなぐもり)」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。

もろともに うれひに酌むや 花ぐもり

作者:飯田蛇笏

花曇 尾の上の鐘の 響かな

作者:夏目漱石

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著者 / Tommy Ikura

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