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季語「陽炎(かげろう)」の解説と季語を使った俳句の例
春の季節の季語の一つである「陽炎(かげろう)」です。
陽炎
「陽炎(かげろう)」は、春の日差しが地面を暖めることで空気が揺らぎ、遠くの景色がぼんやりと歪んで見える現象を指します。陽炎は冬の寒さから解放され、春の暖かさを象徴する自然現象であり、動きのある美しさと不思議なはかなさを感じさせます。俳句では、春の陽気や空気感を描写するための季語として用いられることが多く、遠くの景色が揺らめく様子を通じて、春の静けさや穏やかさ、あるいは心の揺らぎや時間の移ろいを表現するのに適しています。陽炎が生じる景色は詩情豊かで、春の季節感を強く伝える題材です。
季語「陽炎(かげろう)」を使った俳句の例です。[2]
陽をあびて 熊野への道 陽炎の中
解説:熊野への道が春の日差しを浴びて輝き、陽炎によって揺らめく幻想的な情景を描いています。「陽をあびて」という表現が春特有の暖かさと光の柔らかさを伝え、熊野という聖地が持つ歴史や神秘性を際立たせています。「陽炎の中」という結びが、揺らめく空気によって風景が現実と幻想の間を行き来するような不思議な雰囲気を醸し出しています。この句は、春の陽光と陽炎を通じて、自然と歴史、静けさと動きが調和した熊野の風景を詩情豊かに表現しています。
手を振る子 陽炎の中 まだ見れり
解説:春の陽炎の中で遠くにいる子どもが手を振る様子を描いています。「手を振る子」という親しみやすい情景が温かい感情を呼び起こし、「陽炎の中」という季語がその情景に揺らぎと春特有の空気感を与えています。「まだ見れり」という結びが、陽炎に揺らぐ中で見える子どもの姿を儚げに描き、時間の流れや距離感を感じさせます。この句は、自然の中にある人間の営みを穏やかに捉え、春の日の温かさと静けさを伝える情緒豊かな作品です。
季語「陽炎(かげろう)」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。
丈六に かげろふ高し 石の上
作者:松尾芭蕉
ちらちらと 陽炎立ちぬ 猫の塚
作者:夏目漱石
著者 / Tommy Ikura
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