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季語「彼岸(ひがん)」の解説と季語を使った俳句の例
春の季節の季語の一つである「彼岸(ひがん)」です。
彼岸
「彼岸(ひがん)」は春の季語で、春分の日を中日とする前後7日間のことを指します。彼岸は仏教に由来し、亡き先祖を供養する行事として日本では親しまれています。自然が穏やかになる春分の時期は、昼と夜の長さがほぼ等しくなるため、この世(此岸)とあの世(彼岸)が通じやすくなると考えられ、先祖を思い偲ぶ日とされています。また、彼岸は春の訪れを感じさせ、春特有の静かな美しさや清らかな情緒を含んでいます。
季語「彼岸(ひがん)」を使った俳句の例です。[2]
在りし日を遠く偲びて 彼岸かな
解説:彼岸という季節に、過ぎ去った日々や亡き人を静かに思い出し、遠く偲ぶ心情を詠んでいます。「遠く偲びて」という表現が、時間や距離を越えて心の中で過去を辿る姿を感じさせ、故人への深い思いが込められています。「彼岸かな」という結びが、春や秋の穏やかな彼岸の季節と静かな追憶の時間を見事に結びつけ、しみじみとした余韻を残しています。全体に静けさと温かみが漂い、読む人にも過去や故人への優しい気持ちを呼び起こす、情緒豊かな一句です。
花抱え 会いに出かける 彼岸かな
解説:彼岸の季節に花を抱え、故人に会いに出かける情景を詠んでいます。「花抱え」という言葉が具体的で美しく、抱えた花の色や香りから、故人への深い敬意や愛情が伝わってきます。「会いに出かける」という表現には、ただ供養するだけではなく、亡き人との心のつながりを大切にする姿勢が感じられ、彼岸らしい穏やかで優しい時間の流れが表現されています。「彼岸かな」の切れ字が、句全体に静かな余韻をもたらし、季節の情景と心の動きを一体化させています。
季語「彼岸(ひがん)」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。
竹の芽も 茜さしたる 彼岸かな
作者:芥川龍之介
くもりしが ふらで彼岸の 夕日影
作者:宝井其角
著者 / Tommy Ikura
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