季語「春深し(はるふかし)」の解説と季語を使った俳句の例

春の季節の季語の一つである「春深し(はるふかし)」です。

春深し

季語の解説:

「春深し(はるふかし)」は春の季語で、春がすでに進み、季節が本格的に春の中へと深まっている様子を表します。桜の花が散り、新緑が芽吹き、春の暖かさが日ごとに増して、自然界が春の終盤に差し掛かっていることを感じさせる時期です。春の到来に心が弾んでいた頃から、穏やかな春の深まりを味わう時期に移り変わることで、少し落ち着いた情緒や温かさが漂います。

季語を使った自作の俳句:

季語「春深し(はるふかし)」を使った俳句の例です。[2]

春深し 花散りてなお 新芽のぶ

解説:春の深まりと自然の生命力を力強く描いています。「春深し」という季語が春の盛りを表し、その穏やかで豊かな季節感が漂います。「花散りてなお」という表現は、桜や春の花が散った後の儚さや終わりを示唆しつつ、その直後に「新芽のぶ」と続くことで、自然界の再生や生命の力強い成長を感じさせます。春の終わりを寂しむ心情と、新たな命の息吹を感じ取る前向きな視点が共存し、春という季節の持つ美しさと移り変わりの妙が詠まれています。

春深し 新生活も 慣れしころ

解説:人の暮らしと春の季節感をうまく重ね合わせた作品です。「春深し」という季語が、春の充実した時間の流れを示し、新しい生活にも慣れてきた穏やかな日常が描かれています。新生活の始まりには緊張や不安もあったでしょうが、「慣れしころ」という表現により、時間の経過とともに落ち着いた心地よさや安堵感が伝わります。自然の春が深まるように、人間の生活もゆっくりと馴染んでいく様子が巧みに詠まれており、季節の穏やかな変化と人の成長が共鳴する、現代的で共感しやすい一句です。

有名な俳句、著名な俳人の俳句:

季語「春深し(はるふかし)」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。

わらんべの 鐘つき逃ぐる 春深く

作者:山口青邨

春深し 牛むらさきに 野の烟る

作者:幸田露伴

プロフィール画像

著者 / Tommy Ikura

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