季語「勿忘草(わすれなぐさ)」の解説と季語を使った俳句の例

春の季節の季語の一つである「勿忘草(わすれなぐさ)」です。

勿忘草

季語の解説:

「勿忘草」は、春に咲く小さくて可憐な青紫色の花を持つ植物で、別名「忘れな草」とも呼ばれます。この花の名前には「決して忘れないで」という深い意味が込められており、友情や愛情、思い出を象徴する花として知られています。俳句では、その控えめな美しさや、名前が持つ象徴性を活かして詠まれることが多く、春の穏やかな日差しの中で静かに咲く情景や、何かを懐かしむ気持ちを表現する際に用いられます。勿忘草は、一見すると目立たないながらも、記憶や思いを引き留めるような存在感を持つ花であり、俳句に深い感情や情景を添える役割を果たします。

季語を使った自作の俳句:

季語「勿忘草(わすれなぐさ)」を使った俳句の例です。[1]

ふと思う 勿忘草が 揺れる道

解説:春の穏やかな情景の中に、何気なくよみがえる思い出や感情を描いた作品です。「ふと思う」という冒頭が、偶然の感情の動きや思索の始まりを暗示し、その後の情景に柔らかな繋がりを持たせています。「勿忘草が揺れる道」という表現は、控えめな花の動きが心の奥底を揺り動かすようなイメージを重ね、道という舞台が季節の移ろいや人生の歩みを象徴しています。全体として、春の微風に揺れる花の儚さと、人の内面に響く思いが巧みに絡み合った、情感豊かな俳句です。

有名な俳句、著名な俳人の俳句:

季語「勿忘草(わすれなぐさ)」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。

雨晴れて 忘れな草に 仲直り

作者:杉田久女

勿忘草 若者の墓標 ばかりなり

作者:石田波郷

プロフィール画像

著者 / Tommy Ikura

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