季語「枯野(かれの)」の解説と季語を使った俳句の例

冬の季節の季語の一つである「枯野(かれの)」です。

枯野

季語の解説:

「枯野」は、冬の厳しい寒さの中で草木が枯れ果てた野原の景色を指します。一面が枯れた草に覆われた野原は、冬の寂しさや静けさを象徴する風景として描かれることが多く、同時に自然の移ろいを感じさせる重要な季語です。枯野は、生命の休息や無常を表現する場面で使われることがあり、枯れ果てた中にも静かな美しさや、春への希望を感じさせることもできます。また、広がる景色や風の音など、視覚と聴覚の両方で冬の情景を詠み込むのに適した季語です。

季語を使った自作の俳句:

季語「枯野(かれの)」を使った俳句の例です。[2]

凍れる土 静かに眠る 枯野かな

解説:冬の厳しい寒さの中で凍りついた土と、それに包まれるように静かに広がる枯野の様子を描いています。「凍れる土」という冒頭が、冬特有の冷たさと静けさを伝え、「静かに眠る」という擬人化が、枯野の静寂さや自然の休息を優しく表現しています。「枯野かな」という結びが、情景を穏やかに締めくくり、冬の自然の厳しさの中にある美しさを感じさせます。この句は、寒さの中に潜む静かな生命の息吹を詩的に捉えた作品です。

雪降りて 覆い隠せし 枯野かな

解説:雪が降り積もり、枯野がその下に隠されてしまう情景を描いています。「雪降りて」という冒頭が、降り続く雪の情景を鮮明に浮かび上がらせ、「覆い隠せし」という表現が、雪の持つ圧倒的な存在感を強調しています。「枯野かな」という結びが、雪に覆われてもなお感じられる枯野の広がりや静けさを伝えています。この句は、冬の自然がもたらす変化と、それによって生じる儚さや無常感を見事に表現しています。

有名な俳句、著名な俳人の俳句:

季語「枯野(かれの)」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。

旅に病んで 夢は枯野を かけ廻る

作者:松尾芭蕉

旅人の 蜜柑食ひゆく 枯野哉

作者:正岡子規

吾が影の 吹かれて長き 枯野かな

作者:夏目漱石

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著者 / Tommy Ikura

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