季語「毛糸編む（けいとあむ）」の解説と季語を使った俳句の例

冬の季節の季語の一つである「毛糸編む（けいとあむ）」です。

毛糸編む

毛糸編むは、寒い冬にセーターやマフラー、手袋などを手作りする行為を指します。毛糸の柔らかさや温かさは冬ならではの素材感を持ち、編み物をする人々の静かな時間や心を込める姿を想像させます。毛糸編みは、室内で過ごす冬の日常を象徴し、家庭の温もりや季節の風情が漂う情景を生み出します。この季語を用いた俳句では、編み物をする手元の動きやその音、完成した作品への思い、また編み物がもたらす冬の温もりが詠まれることが多く、冬の家庭的な一面を情感豊かに表現します。

季語「毛糸編む（けいとあむ）」を使った俳句の例です。[1]

毛糸編む 母の眼差し 美しき

解説：毛糸を編む母親の姿を優しく描き、その行為に込められた愛情や美しさを表現しています。「毛糸編む」という冒頭が、静かで温かな冬の日常の風景を鮮やかに想像させます。「母の眼差し」というフレーズが、毛糸を編む行為に集中し、家族への愛情が込められていることを暗示しています。そして「美しき」という結びが、母親の静かな動作やその背景にある優しさを称え、冬の静謐な時間と調和した一句に仕上がっています。家庭のぬくもりを感じさせる温かな作品です。

季語「毛糸編む（けいとあむ）」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。

毛糸編 はじまり妻の 黙はじまる

作者：加藤楸邨

ルノアルの 女に毛糸 編ませたし

作者：阿波野青畝

久方の 空いろの毛糸 編んでをり

作者：久保田万太郎

離れて遠き 吾子の形に 毛糸編む

作者：石田波郷