季語「寄鍋(よせなべ)」の解説と季語を使った俳句の例

冬の季節の季語の一つである「寄鍋(よせなべ)」です。

寄鍋

季語の解説:

寄鍋とは、魚介類、肉類、野菜などさまざまな食材を一つの鍋に入れて煮込む料理で、冬の家庭や宴席の定番です。その名前の通り、多くの具材が「寄せ集められる」ことで生まれる豊かな味わいが特徴です。寄鍋は、素材それぞれの旨味が混じり合うことで、独特の深い味わいを楽しむことができ、また、鍋を囲むことで家族や友人との団らんの場を生み出します。この季語を用いた俳句では、寄鍋の湯気や香り、鍋を囲む温かい情景、寒さの中での食事の楽しさが詠まれ、冬の食卓の豊かさや親密さを感じさせます。

季語を使った自作の俳句:

季語「寄鍋(よせなべ)」を使った俳句の例です。[1]

寄鍋に 入れる具を持ち 集いけり

解説:寄鍋を中心に、人々がそれぞれ具材を持ち寄って集まる温かな光景を描いています。「寄鍋に」という冒頭が、冬の季節感を際立たせ、鍋を囲む情景を自然に想像させます。「入れる具を持ち」というフレーズが、参加者一人ひとりの思いや工夫、また、鍋を通じて生まれる共同体感を表現しています。そして「集いけり」という結びが、寒い冬の日に人々が心を通わせ、暖かいひとときを共有する様子を巧みに伝えています。冬の季節感と人間関係の温もりが見事に詠まれた一句です。

有名な俳句、著名な俳人の俳句:

季語「寄鍋(よせなべ)」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。

又例の 寄鍋にても いたすべし

作者:高浜虚子

寄鍋や たそがれ頃の 雪もよひ

作者:杉田久女

舌焼きて なほ寄鍋に 執しけり

作者:水原秋桜子

寄鍋や むかしむかしの 人思ふ

作者:山口青邨

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著者 / Tommy Ikura

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