季語「風呂吹（ふろふき）」の解説と季語を使った俳句の例

冬の季節の季語の一つである「風呂吹（ふろふき）」です。

風呂吹

風呂吹は、大根を厚めに切り、出汁で柔らかく煮込んでから、味噌や薬味をかけて食べる冬の料理です。その名は、煮立てた大根を冷ましながら食べる様子から、「吹きながら食べる」という行為に由来しています。素朴で温かい風呂吹は、冬の寒い日に体を温め、家庭のぬくもりを感じさせる料理として親しまれています。この季語を用いた俳句では、風呂吹の湯気や香り、大根の白さや柔らかさ、そしてその温かさが冬の寒さとの対比として詠まれます。家庭的で心が和む情景が、多くの俳句に描かれる特徴的な題材です。

季語「風呂吹（ふろふき）」を使った俳句の例です。[1]

風呂吹を 冷ます仕草に 笑う子ら

解説：風呂吹を冷ます仕草を見て子どもたちが笑う様子を、生き生きと描いています。「風呂吹を」という冒頭が、冬の食卓での温かい情景を即座に想像させます。「冷ます仕草に」という中七が、熱々の風呂吹をふーふー冷ます動作を具体的に描写し、ほのぼのとした家庭の場面を感じさせます。そして「笑う子ら」という結びが、子どもたちの無邪気な笑顔や楽しげな声を思い浮かばせ、冬の食卓に漂う温もりと賑やかさを伝えています。温かな家庭の絆が感じられる、心がほっとする一句です。

季語「風呂吹（ふろふき）」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。

風呂吹の 一きれづつや 四十人

作者：正岡子規

善か悪か 風呂吹を喰つて 合点せよ

作者：夏目漱石