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季語「蝌蚪(かと)」の解説と季語を使った俳句の例
春の季節の季語の一つである「蝌蚪(かと)」です。
蝌蚪
「蝌蚪」には「お玉杓子(おたまじゃくし)」などの子季語があります。
「蝌蚪(かと)」は、春の水辺で見られるカエルの幼生を指す季語です。小さな黒い体で水中を泳ぐ姿は、春特有の生命の躍動感を象徴します。「蝌蚪」は自然界の成長と変化を象徴する存在であり、俳句ではその動きや群れ、あるいは水面の輝きや周囲の風景とともに描かれることが多いです。特に「蝌蚪」という表現には、日本語ならではの詩情があり、春の水辺の情景や、生命が満ちる季節感を詠む際に効果的です。生命の循環や自然の豊かさを、シンプルで親しみやすい視点で表現することができます。
季語「蝌蚪(かと)」を使った俳句の例です。[2]
黒き羽 無数の蝌蚪が 集まりて
解説:無数の蝌蚪が水面を動き回る情景を「黒き羽」という比喩で描写し、春の生命力を鮮明に表現しています。「黒き羽」という独特の表現が、蝌蚪の群れが作り出す視覚的な印象を詩的に捉えており、その小さな生き物たちの集合が生み出すダイナミズムを感じさせます。春特有の活気と自然界の営みが、一瞬の動きの中に閉じ込められており、生命の連帯感を思わせる一作です。
窓際に 娘が捕らえし 蝌蚪一匹
解説:春の日常の中での微笑ましい一場面を捉えています。「窓際に」という冒頭が、外の光が差し込む穏やかな情景を暗示し、「娘が捕らえし」という動作の描写が、子どもの無邪気さや自然との触れ合いを生き生きと伝えています。「蝌蚪一匹」という結びは、生命そのものの小ささと貴重さを感じさせ、日常と自然が調和した豊かな春のひとときを表現しています。家族の絆や、生命への親しみを感じる温かみのある俳句です。
季語「蝌蚪(かと)」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。
川底に 蝌蚪の大国 ありにけり
作者:村上鬼城
かなたまで 蝌蚪のおどろき 及びけり
作者:中村汀女
この池の 生々流転 蝌蚪の紐
作者:高浜虚子
著者 / Tommy Ikura
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